ユネスコエコパークとは…

ユネスコエコパークとは、生態系の保全と持続可能な利活用の調和(自然と人間社会の共生)を目的として、ユネスコが開始しました。ユネスコの自然科学セクターで実施されるユネスコ人間と生物圏(MAB:Man and the Biosphere)計画における一事業として実施されています。 地域の豊かな生態系や生物多様性を保全し、自然に学ぶと共に、文化的にも経済・社会的にも持続可能な発展を目指す取り組みです。 ユネスコエコパークは国内で親しみをもってもらうためにつけられた通称で、海外では「BR:Biosphere Reserves(生物圏保存地域)」と呼ばれています。 世界のユネスコエコパークの登録総数は、119か国631地域、日本では2014年6月に正式登録承認された福島県只見地域、南アルプスユネスコエコパークを加え7地域が登録されています(2014年6月現在)。

BiosphereReserves = ユネスコエコパーク

ユネスコエコパーク3つの機能

ユネスコエコパークには3つの機能があります。
個々の機能は独立のものではなく、ユネスコエコパークを相互に強化する関係です。
この3つの機能を果たすために3つの地域を設定しています。

保存機能:人間の干渉を含む生物地理学的区域を代表する生態系を含み、生物多様性の保全上重要な地域 学術的研究支援:持続可能な発展のための科学的な調査や研究、教育・研修の場を提供している 経済と社会の発展:自然環境の保全と調和した持続可能な発展の国内外のモデルとなりうる取組が行われている

ユネスコエコパーク3つの地域

ユネスコエコパークは役割の異なった3つの地域に構成されています。

多くの動植物の生育が可能であり、法的にも厳しく保護され、長期的に保全されている地域です。

核心地域の周囲または隣接する地域で、核心地域のバッファーとしての機能を果たします。ユネスコエコパークのための実験的研究だけで無く、教育や研修、森林セラピー、エコツーリズムなど、自然の保全・持続可能な利活用への理解の増進、将来の担い手の育成等が行われています。

人々が居住し生活を営んでおり、自然環境の保全と調和した持続可能な地域社会の発展のためのモデルとなる取組が行われています。

日本のユネスコエコパーク

日本のユネスコエコパークは、1980年(昭和55年)に登録された、志賀高原(長野県、群馬県)、 白山(石川県、岐阜県、富山県、福井県)、大台ケ原・大峯山(奈良県、三重県)、屋久島(鹿児島県) 及び2012(平成24)年に登録された綾(宮崎県)、2014年6月12日に正式登録承認された福島県只見地域、南アルプスユネスコエコパークを加え現在7カ所があります。 その核心地域や緩衝地域は、国立・国定公園や国有林の保護林として保全されています。

南アルプスユネスコエコパークの特色

2014年6月12日にスウェーデンで開催された第26回MAB国際調整理事会において、南アルプスユネスコエコパークが正式に登録承認されました。

南アルプスは3,000m峰が連なる急峻な山岳環境の中、固有種が多く生息・生育するわが国を代表する自然環境を有しています。 富士川水系、大井川水系及び天竜川水系の流域ごとに古来より固有の文化圏が形成され、伝統的な習慣、食文化、民俗芸能等を現代に継承してきました。

従来、南アルプスの山々によって交流が阻まれてきた3県10市町村にわたる地域が、「高い山、深い谷が育む生物と文化の多様性」という理念のもと、 南アルプスユネスコエコパークとして結束。南アルプスの自然環境と文化を共有の財産と位置づけるとともに、 優れた自然環境の永続的な保全と持続可能な利活用に共同で取り組むことを通じて、地域間交流を拡大し、 自然の恩恵を活かした魅力ある地域づくりを図ることを目指しています。

南アルプスの高い山、深い谷が育む生物と文化の多様性

南アルプスの3つの地域で行なわれている取り組みを紹介します。

核心地域

南アルプスを代表する3,000m級の山々の山岳景観や原生的な自然環境、貴重な動植物の生息地を有し、国立公園にも指定されるなど法的にも厳しく保護されている地域です。

赤石岳と前岳のお花畑(静岡市)

キタダケソウ(固有種)

ライチョウ(世界南限種)

登山者で賑わう北岳

高山帯での学術調査

緩衝地域

核心地域の周囲、又は隣接する地域。適切な保護、管理をしながら環境教育などに利用されています。

甘利山のレンゲツツジ(韮崎市)

南アルプスツーリズム(伊那市)

ユネスコスクールの活動
(南アルプス市)

移行地域

自然環境と調和した農業や歴史、文化を生かしたエコツーリズムなどが行なわれている地域です。

標高約1000mの深い渓谷にある
下栗の里(飯田市)

200年以上続く大鹿農村歌舞伎
(大鹿村)

豊かな水資源を利用した稲作
(北杜市)

花々に彩られる入笠湿原
(富士見町)

カヤックツーリング(川根本町)

生きものの生態に迫る体験ツアー
(早川町)

南アルプスユネスコエコパーク申請地面積

総面積302,474ha
核心地域24,970ha
緩衝地域72,389ha
移行地域205,115ha
核心地域
緩衝地域
移行地域

南アルプスの経緯とエコパーク登録までの流れ

1920年2月「南アルプス国立公園指定保進協議会」発足。山梨・長野・静岡の3県が主体となって、南アルプス地域を国立公園に指定することを目指して発足。
 
1964年6月1日南アルプス国立公園」誕生
南アルプス国立公園ホームページhttp://www.env.go.jp/park/minamialps
 
1976年3月「大井川源流部原生自然環境保全地域」が指定
大井川源流部の光岳周辺が原生自然環境保全地域として指定され、同時に南アルプス国立公園の一部が国立公園区域から編入される。
 
1967年〜1979年「南アルプス・スーパー林道」問題。山梨県芦安村(現、南アルプス市)から北沢峠を通り長野県長谷村(現、伊那市)を結ぶ林道建設で起こった自然保護問題。「開発と自然保護との攻防」として取り上げられた。
 
1994年12月「キタダケソウ生育地保護区」が設定。北岳山頂直下にのみ自生するキタダケソウの保護を図るため、38.5haを生育地保護区に指定。
 
2004年6月〜広河原までの区間におけるマイカー規制が施行される。
安全な通行と自然環境の保全を図るため、2004年から「芦安-広河原」間でマイカー規制を開始
 
2006年10月13日韮崎市、南アルプス市、北杜市、早川町が、「南アルプス世界自然遺産登録 山梨県連絡協議会」を設置。
 
2007年1月29日飯田市、伊那市、富士見町、大鹿村が、「南アルプス世界自然遺産登録 長野県連絡協議会」を設置
 
2007年2月1日静岡市、川根本町が、「南アルプス世界自然遺産登録 静岡県連絡協議会」を設置
 
2007年2月28日韮崎市、南アルプス市、北杜市、早川町、飯田市、伊那市、富士見町、大鹿村、静岡市、川根本町の南アルプスに関係する10市町村が、南アルプス市において、「南アルプス世界自然遺産登録推進協議会」設立総会を開催 南アルプス世界自然遺産登録推進協議会ホームページhttp://www.minamialps-wh.jp
 
2008年10月南アルプス自然保護官事務所開設。自然保護官事務所が開設され、専任の自然保護官が着任。
 
2008年12月「南アルプス(中央構造線エリア)ジオパーク」が「日本ジオパーク」に認定。南アルプス(中央構造線エリア)ジオパーク公式サイトhttp://minamialps-mtl-geo.jp
 
2009年5月9日南アルプスユネスコエコパーク調査研究部会の設置
 
2009年6月「南アルプス高山植物等保全対策連絡会」発足。高山帯においてニホンジカによる影響が激化していることを受け、関係する15機関による広域でのシカ対策の連携・情報共有の場として発足。
 
2011年9月「南アルプス生態系維持回復事業計画」策定。環境省と農林水産省がニホンジカ対策についての計画を策定。
 
2011年5月29日南アルプスユネスコエコパーク登録推進部会の設置。南アルプスをユネスコエコパークへ登録するため、世界自然遺産登録推進協議会では、ユネスコエコパーク推進部会(会長 南アルプス市長)を設置した。
 
2011年7月5日ユネスコエコパーク登録推進部会のなかに学識経験者等からなるユネスコエコパーク登録検討委員会の設置
 
2013年8月16日申請書を日本ユネスコ国内委員会へ提出
 
2013年8月17日南アルプスユネスコエコパーク基本合意締結南アルプスのユネスコエコパークが、将来にわたって、持続的に地域で運営することを構成10市町村が明確に表明し、責任と実行のある取り組みを確認するために基本合意を締結。
 
2013年9月4日第26回MAB計画分科会により国内推薦決定
 
2013年9月30日日本ユネスコ国内委員会からユネスコMAB計画事務局に推薦書を提出
 
2014年3月ユネスコの生物圏保存地域国際諮問委員会が審査
 
2014年4月審査結果をMAB計画国際調整理事会に勧告
 
2014年6月1日南アルプス国立公園が指定50周年を迎える。
 
2014年6月12日スウェーデンで開催された第26回MAB国際調整理事会において、
南アルプスユネスコエコパークが正式に登録承認されました。
 
2014年9月27〜30日日本ジオパーク南アルプス大会が伊那市で開催される。
 
2015年2月14日南アルプスユネスコエコパーク登録証授与記念式典が北杜市で開催される。